研究概要 |
近年、超伝導磁場を用いる定常炉をめざす研究が重要になっている.このような状況においては、従来の無磁場の直流グロープラズマに頼るのではなく、超伝導磁場中のプラズマ(例えばECRマイクロ波プラズマ)を用いる壁の調整法が必要になる.さらに、核融合プラズマを停止することなく、その中にリチウムペレットを入射してその場でリチウムコーティングする方法などは有望な手段となるであろう.そこで本研究ではリチウムコーティングとECRボロンコーティイブを中心に進めて次のような研究成果を得た. 1.ボロンコーティング 定常化を想定した新しいボロニゼーション法として、二つの方法を提案し基礎研究を行った.その一つは、デカボランのペレットを核融合プラズマに直接入射し、アブレーションさせてボロンコーティングするやり方であり、もう一つは磁場中のECRマイクロ波放電を用いるボロニゼーションである.その基礎実験を行った結果、ガスの入射口近傍では中性ラジカルによるボロン膜が不均一に堆積し、遠方では磁力線に沿って輸送されるイオン性ラジカルによる堆積が見られる.この事は、磁化プラズマを用いれば大型の容器でも広くコーティングできる事を示唆している. 2.リチウムコーティング リチウムはO_2,H_2O,CO,CH_4等の不純物分子に対する強いゲッター効果を持つ事や、Li一原子につきH原子一個の割合で水素を吸収することを初めて示した.さらに、水素脱離の壁温依存性や、リチウム内の水素の存在形態を探る研究も行った.リチウムはペレットとして直接的に核融合プラズマに投入できるので、将来、炉心プラズマを停止することなくコンディショニングするための有力な手段になる可能性を秘めている.
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