DCおよびRFによるプラズマ回転の誘起と径方向閉じ込めの改善

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06452421
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 八坂 保能 京都大学, 工学部, 助教授 (30109037)
• 研究分担者: 酒井 道 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC)
• キーワード: タンデムミラー / ICRF波 / 静電バイアス / 径方向閉じ込め / 回転誘起 / 回転のシア / 非線形機構

研究概要

HIEIダンデムミラーにおいて、リミタへの静電バイアスの印加およびICRF波入射による径方向閉じ込めの改善について実験を行った。
設備備品である冷却CCDカメラおよびマッハプローブを用いたプラズマの方位角方向回転測定システムを整備した。静電バイアス印加実験では、回転の測定により、プラズマ周辺部で電子の反磁性ドリフト方向の回転誘起が観測された。中心部での回転は観測されていない。この回転速度は、径方向の空間電位分布より得られる径方向電界から計算されるE×Bドリフトによるプラズマ回転速度とほぼ一致した。これより、バイアス印加により周辺部で径方向電界およびE×Bドリフトによるプラズマ回転が誘起されることが示された。また、バイアス電圧を徐々に増加および減少させることにより、周辺部での揺動抑制に履歴現象が存在することが確認された。閉じ込め改善におけるこの非線形現象を解明するため、周辺部の径方向電流が存在する領域でプラズマ回転のシアにより拡散係数が減少するというモデルを用いて、方位角方向のイオンの運動量の保存則の式を解いた。この計算結果より、回転のシア・拡散係数と径方向電流の間に履歴現象が存在することが導かれた。これより、プラズマ回転のシアにより閉じ込め改善時の非線形現象が説明できた。
ICRF波入射実験では、サイクロトロン共鳴を持たない周波数析出部のRF(1.5MHz)を用いて、その入射電力を変化させることにより周辺部での揺動が抑制および助長されることが観測された。揺動抑制の条件では、周辺部で周波数が4〜12kHzのコヒーレントな揺動が抑制され、揺動助長の条件では、周波数が4kHz以下の揺動が成長し、径方向に拡がった密度分布になっている。この時、周辺部においてプラズマ回転の誘起が観測されており、ICRF波入射により周辺部に回転を誘起できることがわかった。今後は、ICRF波入射による回転の誘起と径方向輸送の関係について調べていく。

研究成果

• [文献書誌] Y.Yasaka: "Recent Results of Tandem Mirror Experiments in GAMMA 10 and HIEI" Proc. 15th Int′l.Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research,(Seville,1994). IAEA-CN-60/C-1-1 (1994)
• [文献書誌] Y.Yasaka: "Selective Ion and Electron Heating and Potential Formation Using Mode Conversions of ICRF Waves in HIEI" Nuclear Fusion. Vol.34. 1263-1269 (1994)
• [文献書誌] O.Sakai: "Mode Conversion of Fast Magnetosonic Waves and Minority Ion Heating in a Longitudinally Inhomogenecous Magnetic Field" Physics of Plasmas. Vol.1. 3896-3904 (1994)
• [文献書誌] O.Sakai: "Confinement and Heat Flux Control Experiments in the HIEI Tandem Mirror" Proc.6th Int′l.Toki Conference on Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion,(Toki-city,1994). P2-D05. 111 (1994)
• [文献書誌] Y.Yasaka: "High Density Central Cell Plasma Production and Ion Heating by Helicon Wave Damping and its Mode Conversion into a Slow Alfven Wave" Nuclear Fusion. Vol.34. 1835-1842 (1994)