研究課題/領域番号 |
06452426
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関村 直人 東京大学, 工学部, 助教授 (10183055)
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研究分担者 |
岩田 修一 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50124665)
石野 栞 東海大学, 工学部, 教授 (70010733)
河西 寛 東京大学, 工学部, 助手 (40010970)
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キーワード | 重イオン照射 / カスケード損傷 / 欠陥クラスター / PKA / 重畳効果 |
研究概要 |
欠陥クラスターの形成過程に対するカスケード間の重畳効果のPKAエネルギー依存性を調べるため、単色エネルギーのPKAの入射とみなすことができる自己イオン照射実験を行った。 照射試料は、973Kで1時間のアニールを行った金で、電解研磨によって透過型電子顕微鏡(TEM)で観察可能な薄膜としたものである。東大工学部原子力工学研究施設の400kV重イオン加速器を用いてAu+自己イオン照射を行った。イオンエネルギーは、50、100、200、400keVとし、照射量は5x10^<13>〜5x10^<15>ions/m^2とした。照射後、加速電圧200kVのTEMを用いて、生成した欠陥クラスターを観察した。 欠陥クラスター面密度は50、100keVでは照射量の一乗に比例して増加する。これに対して、200、400keVではそれぞれ4x10^<14>、1x10^<14>ions/m^2において一乗からずれはじめ、グループ中の欠陥クラスター数分布はクラスター数の多い方に広がった分布に変化し、欠陥クラスターのサイズは、1、2nmの小さなサイズのクラスターの割合が増加した。この際のカスケード間の平均距離は、欠陥クラスターグループのサイズより大きい。50、100keVではこの影響範囲は小さく、高照射量での格子間原子による空孔型クラスターの消滅によってクラスター密度の飽和のみが観察された。 低照射量域において導入されたTEM観察不可能な空孔の集合体が、照射量が増加するに伴い、他のカスケード衝突の影響をうけてTEM観察可能な空孔型欠陥クラスターとなる現象はこれまでに14MeV中性子照射、弥生炉照射、高エネルギー自己イオン照射において報告されており、今回の実験ではこの現象は200、400keVにおいて観察された。またこのときのカスケードからの影響はPKAエネルギーが大きいほど広範囲に及び、影響範囲半径はPKAエネルギーの2乗根に比例することがわかった。
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