研究課題/領域番号 |
06452439
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
椹木 亨 大阪大学, 工学部, 教授 (60028975)
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研究分担者 |
中辻 啓二 大阪大学, 工学部, 助教授 (10029324)
村岡 浩爾 大阪大学, 工学部, 教授 (90029017)
出口 一郎 大阪大学, 工学部, 助教授 (00029323)
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キーワード | チャオプラヤ河口 / トラップモード / 非定常緩勾配方程式 / マングローブ / 人工島 / 都市化 / 水の再利用 / 環境保全型都市 |
研究概要 |
椹木・出口は、チャオプラヤ河口部の沿岸域開発に伴って生じた諸問題のうち、沿岸域の侵食についての資料収集を行い、その原因及び浸食緩和対策について実験的検討を加えると同時に、数値予測モデルによる検討を加えた.その結果、特にチャオプラヤ河口右岸側への来襲波浪は、バンコックバ-と、それを横断するバンコック港への航路(バンコックバ-航路)の強い影響を受けることが分かった.特に波のエネルギー平衡方程式に基づいて波浪場の数値計算を行うと、バンコックバ-航路により入射波がトラップされ航路より浅海域には波が伝播しなくなる限界の波向が存在することが分かった.そこで、トラップモードの発生限界に対して、平面波浪実験を行うと同時に、さらに波向線法及び非定常緩勾配方程式に基づく波の場の解析を行ったが、いずれの計算法によっても逆勾配斜面に波が斜め入射する場合には、波が浅海域にトラップされ、水深の深い領域には伝播しなくなる限界が存在することが分かった.これらの結果より、チャオプラヤ川河口右岸側には特定の波向の波浪した入射せず、これによって一方的な海岸浸食が発生する可能性があることを明らかにした. 村岡・中辻は、マレーシアのMerbok Estuaryで観測された大潮と小潮時の流速・水位・塩分濃度のデータを用いて熱帯・亜熱帯の入江や河口域で群落を形成しているマングローブ水域の物理過程を検討した.マングローブ水域は河口に続く河川(Creek)とそれを取り囲むマングローブ湿地帯から形成され、前者の潮汐による輸送機能と後者の一時貯留機能とが相互に影響を及ぼし合って、例えば下げ潮流速が上げ潮流速に比べて卓越するという潮汐流動の非対称性をもたらしている.これは実測においても観測された.また、クリークとマングローブ林を連結した水域の平面二次元数値実験でも確認された.それは主としてマングローブ林への氾艦並びにクリークへの再流入と潮汐との位相の遅れによるものである.
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