研究課題/領域番号 |
06452440
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
池田 有光 大阪府立大学, 工学部, 教授 (40026232)
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研究分担者 |
安田 龍介 大阪府立大学, 工学部, 助手 (50244661)
星野 叡史 大阪府立大学, 工学部, 講師 (50094511)
村野 健太郎 環境庁国立環境研究所, 主任研究員 (40109905)
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キーワード | 酸性霧 / 衛星画像 / 局地気象 / 数値シミュレーション |
研究概要 |
本研究では、赤城山及び日光周辺地区を解析対象地域とし、これまで蓄積された酸性霧データの化学分析結果と気象条件との関連性を明らかにすると共に、衛星画像データと局地気象モデルを用いて立ち枯れと酸性霧の関連性を明らかにするための検討を行った。得られた知見を以下に示す。 1.1987年,90年,92年の3ヶ年のランドサット衛星TM画像データを収集し、解析対象地域の立ち枯れ区域を調べた。衛星画像では解像度が粗過ぎるため立ち枯れ分布そのものを捉えることは困難であったが、航空写真など他の収集資料や現地調査から、立ち枯れ域が極めて局所的・離散的に分布している状況がわかった。 2.赤城山域で採集した霧について、気象学的な条件と霧の汚濁特性との関連性について調べた。赤城山の霧水を酸性化する主要物質はHNO_3であり、H_2SO_4の寄与を上回っている。霧に含まれる化学種成分の組成は気象パターンによって異なること、その組織の違いは試料採取点と発生源との位置関係並びに上層風系により説明しうることが示された。 3.解析対象地域に移流してくる汚染質について、日本を含む東アジア地域を対象としたマクロスケールの移流拡散シミュレーション、首都圏臨海部から関東周辺山域にかけてのメソスケールにおける汚染質の移流解析、並びに赤城山・日光周辺を中心とした局地風と滑昇霧のシミュレーションを行った。マクロスケールの解析によれば、硝酸イオンの年間沈着量を日本全国平均でみると乾性・湿性共に海外からの寄与は20%程度であり、一方、硫酸イオンに対する海外からの寄与は乾性沈着が15%、湿性沈着は40%程度であった。但し硫酸イオンの沈着については火山の寄与が大きい。関東平野の局地風系を再現し、汚染質の輸送経路と赤城山域において観測されたオゾン濃度との対応関係を調べたところ、汚染質は首都圏臨海部から移流したものが多いことが示された。
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