DNAプローブは塩基対間の特異性の高い分子認識により塩基配列を探査するための分子である。本研究では、多種類のDNAプローブを100μmから500μm程度の微小なドット・マトリックスとして基板上に末端固定したDNAプローブ集積チップを、フォトリソグラフィにより製作する。そして、このチップによりサンプル核酸分子の塩基配列を高速・高分解能で探査する方法を開発する。平成6年度は以下の成果を得た。 1.光活性基によるDNAオリゴヌクレオチドの基板上への末端固定について アミノ基と高い反応性を有する光活性基を、ビオチン-ストレプトアビジン結合を介してナイロン膜の基板上に導入した。この基板に直径約2mmの光を照射し、5'末端にアミノ基を導入したDNAオリゴヌクレオチドを末端で共有結合させることに成功した。 2.フォトリソグラフィによるDNAプローブ集積チップの作製について 落射蛍光万能倒立顕微鏡のステージに取り付ける、チップを作製するための専用ホルダーと、蛍光励起光ユニット部に取り付ける、転写パターンのマスク装置を製作した。これらを用いて、約200μmのドット・パターンでDNAオリゴヌクレオチドを基板上に末端固定することに成功した。 平成7年度は、平成6年度の成果をもとに、複数のDNAオリゴヌクレオチドを100μmから500μm程度の大きさのドットのマトリックスとして基板上に固定したDNAプローブ集積チップを作製する。そして、このチップにより、僅かに塩基配列の異なるDNAサンプルの識別を行なう予定である。
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