研究概要 |
・同軸スロットアンテナのアレーに無給電素子を配置することによる加温領域制御の可能性を実験的、解析的に示した。また、加温領域をアンテナ先端に限局する手段としてスロットをはさんでスリーブを装荷した構造の同軸ダイポールアンテナを試作し、その効果を確認した。 ・アンテナのカテーテル(誘電体)被覆や,従来無視されていたアレーとした場合の相互結合を考慮し得る電流分布解析ソフトウェアをモーメント法により開発した. ・更に,同軸スロットアンテナのようなハイパーサーミア用マイクロ波アンテナに対してこれまで評価されることの無かったアンテナ近傍の電界分布を導出するソフトウェアを開発した。これを用いたシミュレーションにより、アンテナ周囲のSAR分布の基本的な特性を初めて明らかにし、アレーの配列、給電位相を変えた場合のSAR分布の変化を理論的に説明することができるようになった。また、従来問題にされてきた体表面付近のホットスポット(不要発熱)の発生のしくみについても明らかにした。 ・電機的特性が筋肉等価であるSAR測定用ファントムを開発し、解析結果と実験結果を比較することにより、開発された上記の解析手法の妥当性と実用性を確認した。本ファントムは,日本ハイパーサーミア学会QA委員会によりマイクロ波帯用標準ファントムに認定された. ・血流を考慮した場合の温度分布を有限差分法によって導出するソフトウェアを作成し、これを用いたシミュレーションにより、SAR分布と温度分布の関係を明らかにした。また、そのような定量的な検討から、マイクロ波アンテナの加温特性を評価する指標としてこれまで一般的であった規格化SAR分布[%]の恣意性を指摘し、治療時の温度分布の推定にはSAR分布[W/kg]が有効であることを示し得た。 ・スロットが複数である同軸スロットアンテナの電流分布を、モーメント法と伝送線路理論によって解析する手法を提案した。
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