研究概要 |
アルカリ土類遷移金属硫化物のあるものは、構造中にM_2S_2(M=遷移金属)相を有し、異種遷移金属の固溶やイオウの欠陥により、酸化物高温超伝導体あるいはその関連物質と極めて類似の挙動を示すことが知られている。本研究では一連のAMS_2型硫化物(A=Ba、Sr,Ca:M:Fe,Co,Ni,Cu)などの三元系端成分、固溶体およびキャリアーを注入した多結晶を系統的に合成し、これらの電気伝導、磁化等のマクロな物性と、中性子散乱実験により観測されるスピン-格子相互作用との関連を明らかにし、またこれら硫化物の単結晶育成の可能性を探ることを目的としておこなわれた。創製については、固相反応法により真空石英封止管中において固溶体粉末を合成することが行われた。BaNiS_2-BaCoS_2系では合成条件の検討がおこなわれ固相反応での問題点が指摘された。この系では固溶体全率が合成された。マクロ物性が測定され、既知の方法にてえられたものとほぼ同等の挙動を示すことが明らかになった。またBaNiS_2におけるCu、Baサイト置換がこころみられ、合成条件などについての知見が得られた。金属的伝導を示すBaNi_<0.9>Co_<0.1>S_2の中性子散乱では磁気的秩序がこの固溶領域では見いだせないことが明かとなった。単結晶育成については主として真空封止管におさめられたアルミナ管中で垂直ブリッジマン法にて試みられた。育成は共晶点付近のNiS_2過剰組成溶液を用いておこなわれ3×3×0.3mmていどの自形の単結晶が多数得られた。核形成の制御、原料の完全融解などに新たな技術の開発が必要とされた。
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