研究課題/領域番号 |
06453003
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
井上 厚行 千葉大学, 理学部, 教授 (30150270)
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研究分担者 |
古川 登 千葉大学, 理学部, 助手 (40251194)
西田 孝 千葉大学, 理学部, 教授 (40012405)
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キーワード | 開放系 / イライト / カオリナイト / 結晶成長 / オストワルドの段階則 / 風化 |
研究概要 |
本年度は、本研究テーマである開放系での結晶成長機構を明かにするために、イライト鉱物と類縁の粘土鉱物であるカオリン鉱物について集中的に研究した。北海道登別大湯沼中で生成するカオリナイトの表面形状や集合状態を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した結果、(001)面には明瞭なスパイラルは観察できなかった。この観察結果は電子顕微鏡観察とも調和的であった。大湯沼のような対流の存在する過飽和溶液からの結晶の沈殿成長では2次元成長と個々の結晶粒子の凝集合体が特徴的な成長機構であることが分かった。この研究成果の一部は本年6月にカナダ・オタワで開催される国際粘土学会で発表する予定である。一方で、天然におけるスメクタイト→イライト変換反応とアロフェン→ハロイサイト→カオリナイト相変化反応を例にとり、閉鎖系における変化機構を鉱物の溶解度の粒径効果を考慮して理論的に解析した結果、水溶液中での準安定相から安定相への相変化は溶解・再結晶過程を経て進行し、個々の結晶はオストワルド成長によって粗大化することが分かった。この解析は半定量的であった。したがって、実際に天然で起こっている鉱物変化をより定量的に理解するために、準安定相を含む個々の鉱物の溶解速度、核生成速度、および成長速度を実験的に求めることが今後の課題である。本研究ではいわゆるオストワルドの段階則にしたがった溶液中での鉱物相変化を研究対象としているので、粘土鉱物と平行してシリカ鉱物の相変化についても電子顕微鏡観察を進めている。ここでも組織と結晶構造との間に興味深い関係が認められ、今後も観察を継続していく予定である。
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