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1996 年度 実績報告書

炭素・窒素安定同位体比を指標とする海洋表層の生物地球化学過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 06453006
研究機関名古屋大学

研究代表者

才野 敏郎  名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 教授 (60126068)

キーワード懸濁態有機炭素 / 硝酸 / 安定同位体比 / 大西洋 / 植物プランクトン / 同位体希釈法、 / 全炭酸
研究概要

広範な海域表層の懸濁態有機炭素の安定同位体比の変動を支配する要因を明らかにするために、大西洋を縦断する南北50度の海域で、観測および船上実験を実施した。
その結果、1)海洋表層の懸濁態有機物の炭素安定同位体比の変動に関して、基本的に水温と塩分で決まる海洋構造と、それに依存した海域による化学的な環境(炭酸系)の違いが第一義的な支配要因となること、2)同じ水温の海域を比較したとき、植物プランクトンの活動が活発な海域の方がの光合成にともなう同位体分別が小さくなっていること、3)船上における希釈培養実験の結果からは、観測した大西洋表層水においては、微細藻類を出発点とする微生物ループが卓越しており、生物による生産と分解の過程がほぼ釣り合っているために、同位体希釈法を用いた極微量硝酸試料の窒素安定同位めに、1、2の結果が得られたことが示唆されること、等がわかった。
同位体希釈法を用いた極微量硝酸試料の窒素安定同位体比測定法を開発した。
この方法によれば、1マイクロモルの硝酸を含む海水試料を2リットル用いて硝酸態の窒素安定同位体比を+-約0.3パ-ミルの精度で測定することができる。この方法を北西部北太平洋の海水試料に適用した結果、深層水ではおよそ4-5パ-ミルの同位体比を示すのに対し、亜表層では、予想に反して、1パ-ミルと低い値を示した。同海域は冬季に亜熱帯モード水が形成されるとともに海表面にもたらされた低濃度の硝酸が夏季に消費しつくされる海域であり、夏季に生成した有機態窒素が表層近くで速やかに硝酸として再生することを意味しているのかもしれず、興味深い。
沿岸熱塩フロント域での鉛直流速を推定した結果、紀伊水道フロント域での海水混合の時間スケールはおよそ2日程度となった。粒状有機物の炭素安定同位体比は窒素安定同位体比より時間スケールの長い変動現象を反映することがわかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 才野敏郎: "物質循環のモニタリングと物質循環生物学" 月刊海洋号外. 11. 100-105 (1996)

  • [文献書誌] Saino,T.: "Role of sediment trap experiments in the study of plankton ecology : contribution to biological oceanography." Bulletin of Plankton Society of Japan,. 43-2. 153-158. (1996)

  • [文献書誌] Yanagi,T.,et al.: "Detailed cross-frontal structure of a tidal front in the Kii Channel,Japan." In : Coastal and Estuarine Studies,American Geophysical Union. 50. 135-144 (1996)

  • [文献書誌] Yanagi.T.,et al.: "Observation of convergence,divergence and sinking velocity at a thermohaline front in the Kii Channel,Japan." Continental Shelf Research. 16(10). 1319-1328 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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