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1994 年度 実績報告書

極域エアロゾルの有機地球化学的研究:自然及び人為起源物質の長距離輸送と変質

研究課題

研究課題/領域番号 06453009
研究種目

一般研究(B)

研究機関東京都立大学

研究代表者

河村 公隆  東京都立大学, 理学部, 助教授 (70201449)

研究分担者 鈴木 啓助  東京都立大学, 理学部, 助手 (60145662)
キーワード北極大気 / エアロゾル / 有機物 / ジカルボン酸 / シュウ酸 / マロン酸 / コハク酸 / 光化学反応
研究概要

本年度、北極圏を地球的規模での光化学反応の実験場として位置づけ、太陽光が入射しない11-2月、陽が昇る(Arcticsunrise)3-4月、陽が完全に昇りきる5-6月の試料を集中的に分析した。その結果、北極エアロゾルの起源、変質の過程について、以下のことが明かとなった。シュウ酸、マロン酸、コハク酸などの低分子ジカルボン酸は、太陽が昇る3月から4月にかけてその濃度が大きく増加する。その濃度の増加は、太陽が昇る以前の11-2月にくらべて、5倍から20倍である。これは、冬場に北極圏に大気輸送された人為起源の炭化水素などが太陽光にさらされることにより、急激に光化学反応が進行した結果と考察された。ジカルボン酸への酸化反応における中間体である、オキソ酸、グリオギザ-ルなどは、ジカルボン酸のピークが出現する2週間まえに認められ、太陽が昇る時期に、一連の光化学的酸化反応が進行していることが、確認された。興味あることに、2月から6月におけるジカルボン酸の濃度は、地表オゾンの分解に関与すると考えられている臭素の濃度とよい正の相関を示した。北極圏大気中では、3-4月の太陽の出現の時期に、オゾンの分解、ハロゲン元素の生成、有機物の分解とジカルボン酸の生成がリンクしていることが強く示唆され、この研究をさらに進展させる必要性が明かとなった。一方、植物起源の不飽和脂肪酸の光化学酸化生成物であるアゼライン酸(C9)の濃度は、3-4月には、相対的に低かったが、5月以降夏に向かって増加傾向を示した。これは、気温の上昇、海氷の後退によって、海洋から大気への海洋微生物起源の有機物の寄与が大きくなったことによると考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] R.Sempere and K.Kawamura: "Comparative distributions of dicarboxyhc acids and related polar compounds in snow,rain and aerosols from urban atmosphere" Atmos.Environ.28. 449-459 (1994)

  • [文献書誌] K.Kawamura et al.: "Determination of polycyclic aromatic hydrocarbons in the ice Samples from Greenland." Proc,NIPR Symp,on Polar Meteorol,Glaciol.8. 129-139 (1994)

  • [文献書誌] F.Sakaguchi and K.Kawamura: "Identification of 4-oxoheptanedioic acid in the masine atmosphere by a Capillany GC-MS." J.Chromatogr.687. 315-321 (1994)

  • [文献書誌] K.Kawamura et al.: "Ice cose record of polycyclic aromatic hydrocarbons over the past 400 years" Naturwissenschaften. 81. 502-505 (1994)

  • [文献書誌] 春日部 英輝,河村 公隆 他: "北極エアロゾル試料中の水溶性有機物のキャピラリーガスクロマトグラフィー,ガスクロマトグラフィーノ質量分析計による定量" 分析化学. 43. 837-843 (1994)

  • [文献書誌] K.Kawamura et al.: "Production of dicarboxylic acids in the arctic atmosphere at polar sunrise." eophys.Res.Lett.(印刷中). (1995)

  • [文献書誌] K.Suzuki et al.: "Snow Cover and its Interaction with Climate and Ecosystems" IAHS Publication(No.223), 339 (1994)

  • [文献書誌] 鈴木 啓助(執筆分担): "展望21世紀の人と環境" 三共出版,佐々木胤則編, 235 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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