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1996 年度 実績報告書

極域エアロゾルの有機地球化学的研究:自然及び人為起源物質の長距離輸送と変質

研究課題

研究課題/領域番号 06453009
研究機関北海道大学

研究代表者

河村 公隆  北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)

研究分担者 鈴木 啓助  信州大学, 理学部, 助教授 (60145662)
キーワード南極 / エアロゾル / 有機物 / モノカルボン酸 / ジカルボン酸 / オキソカルボン酸 / アゼライン酸 / 光化学反応
研究概要

本年度は、南極・昭和基地で採取したエアロゾル試料をキャピラリーGC,GC/MSを用いて分析し、そこに含まれる有機物を分子レベルで解析した。
南極昭和基地エアロゾル中に脂肪族モノカルボン酸及びジカルボン酸,オキソ酸を検出した。昭和基地エアロゾル中のモノカルボン酸は,C16を極大に持つ偶数炭素優位性を示した。低分子量モノカルボン酸(C12〜C19)は,高分子量モノカルボン酸(C20〜C28)に対してはるかに優勢であった。これらの結果は,南極昭和基地の大気中の有機物は海洋生物からの寄与を強く受けていることを示唆した。また,不飽和モノカルボン酸(C16:1, C18:1)も検出されたが,それらは飽和モノカルボン酸に比べ低い濃度であり,大気中で光科学的に分解を受けたものと考えられた。一方,不飽和脂肪酸に特有な光化学的酸化生成物であるアゼライン酸(C9)は,主要なジカルボン酸として検出された。アゼライン酸が全炭素(TC)に占める割合は夏に高く冬に低い傾向を示し,日射量との間に強い正の相関が存在することが認められた。本研究より,南極大気中に存在するエアロゾルは,第一に海洋生物の影響を強く受けていること,第二に,これらの有機エアロゾルは夏の時期に活発な光化学的酸化反応を受ける結果,ジカルボン酸を含んだより極性の高い粒子に変質していることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] R. Sempere: "Low molecular weight dicarboxylic acids and related polar compounds in the remote marine rain samples collected from western Pacific" Atmos. Environ. 30. 1609-1619 (1996)

  • [文献書誌] K.Kawamura: "Source and reaction pathways of dicarboxylic acids, ketoacids and dicarbonyls inarctic aerosols : one year of observations." Atmos. Environ. 30. 1709-1722 (1996)

  • [文献書誌] 錦織睦美: "「南極エアロゾル中のモノおよびジカルボン酸とオキソ酸」" 地球化学. 30. 27-34 (1996)

  • [文献書誌] K.Kawamura: "Ice core record of fatty acids over the past 450 years in Greenland" Geophysical Res. Lett.23. 2665-2668 (1996)

  • [文献書誌] K.Kawamura: "Water soluble dicarboxylic acids and related compounds in the Antarctic aerosols." J. Geophys. Res.101,No.D13. 721-18,728, (1996)

  • [文献書誌] K.Kawamura: "Enhanced atmospheric transport of soil derived organic matter in spring over the high Arctic" Geophys. Res. Lett.23. 3735-3737 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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