研究概要 |
平成7年度の研究成果を以下に箇条書きする。 (1)遷移金属クラスター負イオン(Co^-_n,V^-_n,Mn^-_nなど)の光電子スペクトルを測定した。スピン偏極DV-Xα計算を用いて結果を解析し、それらの電子構造と幾何学的構造を決定した。電子スピンは強磁性的スピン結合を形成していることがわかった。 (2)遷移金属クラスター正イオン(Co^+_n,V^+_nなど)の光吸収スペクトルを測定した。同様にスピン偏極DV-Xα法を用いて解析し、電子構造と幾何学的構造を決定した。V^-_4では強磁性的スピン結合ぶあるのに対し、V^+_4は反強磁性的結合ぶあった。これは、V^+_4でV-V間の結合距離が小さくなっているためであると考えられる。 (3)アルカリ金属クラスターイオンと希ガス原子との衝突反応を調べた。Na^+_9では衝突によってクラスターが変形し、そのためNa_2が解離する過程が衝突エネルギーの増大に伴なって大きくなることが示された。 (4)液体分子線表面における光誘起イオン-分子反応を追跡した。アルコール-アセトフェノン溶液表面におけるアセタール化反応、アルコール-ナフタレン溶液表面におけるプロトン移動反応などを明らかにした。
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