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1995 年度 実績報告書

極低温における量子力学的トンネル効果反応の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 06453021
研究機関名古屋大学

研究代表者

宮崎 哲郎  名古屋大学, 工学部, 助教授 (90023126)

研究分担者 荒殿 保幸  日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 主任研究員
キーワードトンネル効果 / トンネル反応 / 固体水素 / ビタミンC / 水素分子アニオン
研究概要

これまでのトンネル反応はH原子移行型反応であった。今回は、2、3-ジメチルブタンカチオンからの水素分子(H_2又はD_2)脱離反応を77Kで調べた。k(H_2脱離)/k(D_2脱離)=1.7×10^4という著しい同位体効果を観測した。これはトンネル脱離反応の場合の理論的予想値とも一致しており、H_2分子がトンネル効果によって移行することを観測した初めての例である。
次に、生体系におけるトンネル反応を見出した。哺乳動物細胞又はそのモデル系(高濃度蛋白質溶液)に室温でγ線を照射すると、生成した有機ラジカルは、1日以上も生存する。このラジカルはDNAの突然変異を引き起こし、ビタミンCを添加するとラジカルは反応によって消滅し、突然変異も抑制される。重水素化ビタミンCを用いて長寿命ラジカルとビタミンCとの反応を研究した。大きな同位体効果(≧20〜50)を発見し、この反応がトンネル反応であることを見出した。生体内でもトンネル反応が重要であることを示している。
極低温、固体p-H_2を用いると高分解能ESR測定が出来ることを考え出した。この方法を用いてH_2^-アニオンの明確なESRスペクトルを得ることに成功した。H_2_-アニオンの減衰挙動に関する温度効果を調べた結果、この減衰がトンネル効果によることを見出した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Miyazaki: "ESR Studies of a New Reactive Species Produced in γ-Ray Irradiated Solid para-H_2 at 4.2K" Chem.Phys.Letters. 232. 229-231 (1995)

  • [文献書誌] T.Miyazaki: "Rate Constant for Reaction of Vitamin C with Protein Radicals in Irradiated Aqueous Albumin Solution at 295K" Radiat.Phys.Chem.45. 199-202 (1995)

  • [文献書誌] T.Miyazaki: "Radiation-Induced Emission from Golden Hamster Embryo Cells" Radiat.Phys.Chem.(in press). (1995)

  • [文献書誌] T.Miyazaki: "Quantum Tunneling Reactions of Ions in the Solid Phase at Low Temperature" J.Mass Spectrom.Soc.Jpn.43. 305-312 (1995)

  • [文献書誌] T.Miyazaki: "Reaction of Metallothionein and Long-lived Radicals in Murine Liver" Radiat.Phys.Chem.(in press). (1996)

  • [文献書誌] T.Kumada: "Experimental Observation of H_2^- Anions by High-Resolution-ESR Spectroscopy in Irradiated Solid Parahydrogen at 4.2K." Chem.Phys.Letters. (in press). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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