[1]購入した高分解能分光システムを用いて、どこまで極微小の吸光度変化が測定出来るか、予備検討を行った。基準物質としてベンゼンを用い、気相及び超音速ジェット中で、予定通り1/10000の吸光度変化がS/N比良く測定出来ることが確かめられた。更にS/N比を改良するために、諸設定の最適化が必要であるが、9-シアノアントラセンの超音速ジェット中での吸収スペクトル測定を行う次の段階へ向けて準備中である。 [2]Xe及びCO_2の超臨界流体を用いて、超臨界流体中の9-シアノアントラセンの蛍光、蛍光励起スペクトル及び吸収スペクトルがようやく測定できるようになった。気相に比べていずれのスペクトルも長波長測へシフトすることがわかった。一方、蛍光寿命の値は、Xe、CO_2の超臨界流体中で、それぞれ2.80ns、14.68nsであった。Xeマットリスク中では13.2nsであることから、Xeマットリクスに比してXe原子の密度が小さいXe超臨界流体中で、Xe原子による項間交差に及ぼす重原子効果が認められたことを意味し、励起緩和に及ぼす熱的励起の重要性が示唆される結果が得られた。 Xeの超臨界流体を用いて得られた実験結果は、本研究課題を遂行する上で、重要な進展として位置づけられる。
|