研究概要 |
当初の研究計画に従い、本年度は二体・三体クラスタリング反応で生成する希ガスのヘテロクラスターイオンの発光スペクトルの観測を真空紫外から可視領域で試みた。その結果、ArKr^+のC_13/2-A_13/2,B1/2-X1/2,C_21/2-A_21/2遷移、KrXe^+のC_13/2-A_13/2遷移に帰属できる新規発光種を発見した。スペクトルの振動解析からこれらのテヘロクラスターイオンの平衡構造を決定した。 また希ガスの背圧を上昇させることにより、ヘテロクラスターイオンの発光近傍に下記の二体・三体クラスタリング反応で生成する希ガスヘテロトリマ-の発光スペクトルを観測できた。 反応例 NeAr^+ + Ar → NeAr_2^+ + hν 放射再結合 (1) NeAr^+ + 2Ar → NeAr_2^+ + Ar 三体クラスタリング反応 (2) 系統的な研究により、これまでにHeKr_2^+,NeAr_2^+,NeKr_2^+,NeXe_2^+,ArKr_2^+,KrXe_2^+に帰属可能なbound-free遷移の連続発光を発見した。多くの場合、これらの連続発光は、ヘテロクラスターイオンのB,Cバンドに収斂する第一バンドとDバンドの長波長側に出現する第二バンドから成る。これらの発光の希ガス背圧依存性から第一バンドをヘテロトリマ-イオンのC_13/2-A_13/2,B1/2-X1/2遷移、第二バンドを、そのB1/2-A_21/2遷移の発光に帰属した。これらのいくつかは真空紫外領域で強く発光し、今後、新真空紫外エキシマーレーザーとしての実用化研究が期待される。
|