研究概要 |
1.Pt(111)表面上に吸着したメタンの光励起メカニズム メタンの吸着状態をTPD、XPS,仕事関数変化などの測定から明らかにした。メタンを第一層飽和吸着させたPt(111)表面に193nmの紫外光を照射するとメタンは解離し、表面上に水素原子とメチルの吸着種を生成する。直線偏光した紫外光を用い、反応の断面積の入射角依存性の測定から、光励起のメカニズムとしては、励起が吸着種に局在化した吸着種の電子状態の直接励起であることが判明した。 2.Pt(111)表面上での高速水素原子と吸着メチルとの反応ダイナミクス メタンの光解離と共に表面からはメタンとメチルが高い並進エネルギーを持って脱離してくること、また、メタンの光解離によって生成されたホットな水素原子が余剰エネルギーを散逸する前に、さらに吸着メチルと反応し、メタンとして脱離することを明らかにした。 3.水素原子とCH_3の再結合反応のダイナミクス メチルと水素原子が共吸着したPt(111)表面をパルスレーザー照射によってパルス加熱することにより、メチルラジカルと水素原子間の再結合反応を誘起した。この再結合反応によって生成したメタンの脱離に関して、その空間分布と並進エネルギー分布を測定した。脱離では空間分布は表面法線方向に鋭い分布を持ち、その平均並進エネルギーは0.43eV(〜2500K)で表面温度〜120Kに比べて極めて高いことが判明した。Pt(111)表面でのメチルと水素原子の再結合反応に関するRRKM理論を用いた最近のモデルとの比較を試み、その取り扱いの不十分な点を明らかにした。
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