1、3、5-トリハロメチルベンゼンを出発原料として、トリプロパノールアミンから得られたテトラアミン誘導体とのカップリングにより、橋頭位に窒素原子を有するアザシクロファン誘導体を得、脱トシル化、プロトン化、メチル化などを行い、それぞれについて、n-H-π相互作用の有無についての検討を行った。しかし側鎖のベンジル位の窒素原子の存在のために、分子内空孔への確実なプロトン包接の結果が得られなかったため、次ぎに側鎖部位の窒素原子の除去を狙った。橋頭位を除く窒素原子をニトロソ化し、これを以前我々の研究室において開発された、還元条件下における脱窒素環縮少反応により、目的の化合物を得ようと試みた。種々の反応条件を検討したが、複雑な混合物を与えるのみであり、単一の目的物は得られなかったので、硫黄架橋による大環状架橋化合物の合成、それからの脱硫黄原子による目的物の合成を行った。予備の実験として1、4-ビスハロメチルベンゼンとビス(3-メルカプトプロピル)アミン誘導体とのカップリングによりアザジチア[9]パラシクロファン誘導体を得、酸化によりジスルフォンとし、これを脱スルフォン化することにより中央の窒素原子以外にはヘテロ原子を含まないシクロファン誘導体の合成に成功した。その手法を目的の1、3、5-置換体に応用するため、トリスメルカプトプロピルアミンとのカップリングを行ったところ目的のアザトリチア(1、3、5)シクロファンを得ることができた。現在のところ目的物を得るまでには至っていないが、環化化合物合成という、最大の難関を突破できたので初期の目的は近いうちに達成できると考えている。
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