研究課題/領域番号 |
06453041
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学
|
研究機関 | 熊本大学 (1995) 九州大学 (1994) |
研究代表者 |
都野 雄甫 熊本大学, 教養部, 教授 (10029845)
|
研究分担者 |
藤尾 瑞枝 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (10029887)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
キーワード | ソルボリシス反応 / 溶媒効果解析 / 溶媒和挙動 / 遷移状態構造 / イオン対復帰 / O-18スクランブリング / アリール関与機構 / パイ非局在化 |
研究概要 |
直接共鳴による非局在化した陽イオンを生じるソルボリシス系を対象とする溶媒効果の一般式、log(k/k_o)=m_CY_<0T5>+m_ΔY_Δ(1)、の提案を行った。k_Δ-k_C機構のβ-アリールアルキル系のソルボリシスの溶媒効果解析では、アリール関与の程度を、m_Δ、m_Cの相対的大きさにより定量的に評価する事ができた。この溶媒効果解析式により、Winstein-Grunwald式、log(k/k_o)=m_CY_<0T5>+1N_<0T5>、のk_S-k_Cの連続スペクトルとは別次元のk_Δ-k_Cのアリール基関与ソルボリシスの連続スペクトルの機構の概念を導入することができた。式(1)は直接共役ベンジル系のソルボリシスにも同様に適用でき、カチオン中心の直接共鳴相互作用の大きさの評価に使える事が分かった。トリアリールビニルトシラートなどのビニルカチオン生成ソルボリシスの溶媒効果の検討を行い、spカチオン系がベンジルπ-非局在化系と同様、遷移状態で極限的な非局在化を示す系であり、Y_<0T5>、Y_Δで十分解析できる事が分かった。この式(1)は遷移状態における反応中心電荷に対する溶媒和安定化要求と共鳴安定化要求の拮抗を定量化したものであり、機構判定の理論式として確立された。更に、式(1)はアルキル関与機構およびC-C超共役安定化機構にも適用され、カチオンの非局在化安定化が、脱溶媒和で解釈される事が判明した。従って、溶媒効果に現れるカチオン・アニオンに対する溶媒和安定化が式(1)の係数により、溶媒和安定化に拮抗する脱溶媒和に相当するπ非局在化安定化と非π非局在化安定化の項で定量的に表現でき、遷移状態の詳細構造の明確な情報に基づくソルボリシス機構の統一的解釈が可能となった。
|