研究概要 |
1 硫黄原子と不斉リン原子を配位原子とするSPPS型四座配位子MeS(CH_2)_2PPh-(CH_2)_nPPh(CH_2)_2SMe(n=2、3)を合成し、コバルト(III)錯体との錯形成反応を試み,生成する錯体の立体化学などに及ぼす不斉リン原子の絶対配置の影響等を明かにする実験を行っている。現在数種の錯体の合成、構造決定に成功し、更に類似錯体の合成、単離、キャラクタリゼーションなどを研究中である。 2 窒素原子と不斉リン原子を配位原子とするNPPN型四座配位子NH_2(CH_2)_3PPh-(CH_2)_nPPh(CH_2)_3NH_2(n=1-4)を合成し、ニケッル(II)及びコバルト(III)錯体の錯形成反応を試みている。とくに、n=1とn=4の場合は従来いかなる金属(イオン)に対しても合成例のないものであるが、本研究では、n=1のコバルト(III),n=4のニッケル(II)錯体の単離に成功した。現在構造等の性質について研究中である。 3 コバルト(III)-ホスフィン錯体の基礎的性質を調べるため、メチルジフェニルホスフィン配位子を含む三種のコバルト(III)錯体のX線結晶解析を行い,Co-P結合距離と錯体の加水分解反応の関連を調べた。又,N-N,N-P,P-P型キレート配位子を含むトランスジクロロコバルト(III)錯体のX線構造解析を行って比較し,ホスフィノ基の強いトランス影響について明かにした。
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