研究概要 |
1.SPPS型供与原子をもつ四座配位子,MeS(CH_29)_2PPh(CH_2)_nPPh(CH_2)_2SMe(n=2,3)を含む12種の新規コバルト(III)錯体を合成し、それら錯体の構造を^1HNMR及び可視紫外吸収スペクトルから決定した。また、cisα-[CoCl_2{rac(P)-222SPPS}]BF_4及びtrans-[CoCl_2{meso(P)-232SPPS}]BF_4のX線結晶解析を行い、ホスフィノ基の強いトランス影響を明らかにした。対応する222NPPN及び232NPPN錯体とは、配位挙動や異性化反応に違いがみられることを見い出し、アミノ基とチオエーテル基の相違点を明らかにした。 2.NPPN型供与原子をもつ四座配位子、NH_2(CH_2)_3PPh(CH_2)_nPPh(CH_2)_3NH_2(n=1:313NPPN,n=4:343NPPN)を新たに合成し、それらを含むコバルト(III)及びニッケル(II)錯体の合成を行った。[Co(dtc)_2{meso(P)-313HNPPNH}](ClO_4)_3(dtc=N,N-ジメチルジチオカルバマトイオン),及び[NiCl{rac(P)-343NPPN}]PF_6のX線結晶解析を行い、前者では313NPPNは二座配位子として、後者では343NPPNは四座配位子として配位していることが明らかになった。また、[Co(dtc)_2{NH_2(CH_2)_3PPh(CH_2OH)]BPh_4のX線結晶解析も行った。 3.ホスフィン錯体の基礎的研究として、Me_2P(CH_2)_nPMe_2(n=2,3)(L)を含むcis-and trans-[RhCl_2(L)_2]^+の幾何異性体の対,三脚状ホスフィンを含む[Fe{MeC(CH_2PMe_2)_3}_2]^<2+>,及びホスフィン-イミンハイブリッドが型新規配位子である8-(ジメチルホスフィノ)キノリンを含む単核Pd(II)及び複核Pd(I)錯体を合成し、X線結晶解析によって、それらの構造特性を明らかにした。とくに、三脚状ホスフィンを含む錯体では、Co(III),Fe(II),Cr(O)の等電子、等構造の錯体の比較が可能になり、金属ーリン間の結合性が明らかになった。
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