白金-ジオンジオキシマート錯体は中心金属が鎖状に配列する一次元構造をとり、高圧下で絶縁体-金属-半導体転移といった特異なふるまいを示す。これらの機構を解明するため、温度、圧力、磁場の3つのパラメーターを自由に制御できる多重極限装置を設計し、作製した。極低温、強磁場下で高圧力を発生させるため、高圧装置は特別な工夫がなされている。試料部の温度は4K以下になり、加圧する部分は油圧を用いるので室温でなければならない。それ故、高圧装置は非磁性で熱伝導の良くないステンレス材を使用し、約1.5mと長いプレスにして、大きな温度差がつくようにした。また超伝導磁石の中に高圧プレスを入れるため、太さにも特別な注意をはらった設計がなされている。温度は1.5Kから室温、圧力は静水圧で大気圧から3万気圧(3GPa)、磁場は7テスラ-まで自由に可変できる多重極限装置を完成させた。プレスとクライオスタットで全長約4mに達する大きなもので、全てクレーンを使って操作される。
|