研究概要 |
本研究課題の目的は,液-液,H-C,ゲル,液晶,などの相転移現象における構造形成を蛍光プローブ法,光散乱法,顕微鏡画像処理法,などを用いて,そのダイナミックスを解明することにある. (1)ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)のG-C転移における分子運動の測定と解析 PNIPAにカルバゾリル基を導入した試料を合成し,3mK精度の温度制御装置を自作し,G-C転移近傍の3〜4度間を数十mKごとに,カルバゾリル基の発光スペクトルと蛍光異方性比スペクトルを測定できるシステムを作製した.この成果は高分子年次大会に報告する.継続年度でこれら約180本のスペクトルを解析するシステムを作成する. (2)ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)ゲルの体積相転移における分子運動の測定と解析 PNIPAゲルをフルオレッセインやANSなどの色素存在下で合成し,体積相転移近傍での測定を(1)と同様に行った.ここでは,溶媒中に存在する色素は,体積収縮した方が回転速度が速くなることがわかった.また,PNIPAゲルに色素溶液が浸透していく過程をビデオに録画し,その拡散過程の解析を画像処理を用いて行った.この成果は高分子年次大会で報告する. (3)ポリビニル酢酸にカルバゾリル基を導入し,メタノール/シクロヘキサンの相分離温度近傍での測定を(1)と同様に行った.ここでは,相分離点近傍での側鎖の回転運動やエキシマー形成などの変化を捕らえた.この成果を高分子年次大会で報告する.
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