1.線張力測定の基礎実験となる液体表面上の液相レンズの二面角測定が高精度でなされた。 (1)水/空気界面に形成された長鎖アルコールレンズの二面角を温度の関数として測定した。従来の目測接線による測定を改め、高精度高速度画像解析により得られたレンズのプロファイルと曲界面に適用されるラプラスの式の数値積分から得られる理論プロファイルとをベストフィットさせることにより二面角を得た。 (2)水/アルコール、水/空気、およびアルコール/空気界面の界面張力値から計算される二面角と実験値との一致は満足できるものであり二面角測定が高精度でなされていることが証明された。 (3)三相接触線を基準にしたレンズの上部と下部の角度が独立に測定されているのでこの手法を小レンズ適用することにより直ちに線張力が計算されることが示唆された。。 (4)レンズの濡れ-非濡れ転移や水相の侵入など重要な界面科学的現象が、二面角測定結果と界面張力測定結果から明らかにされた。 2.購入したノマルスキー型微分干渉顕微鏡および設計作製したステージやセルにより空気/水界面での液滴レンズの干渉縞が観測できるようになった。 (1)室温付近で数種類の有機化合物のレンズを水面上に作り干渉縞の観測を行なった。この結果数十ミクロン程度の直径をもつレンズが測定に適していることがわかった。 (2)長鎖アルコールよりも安定で測定しやすいレンズを形成することが判明したオクタン酸メチルを用いて、線張力測定の至適実験条件を検討中である。
|