• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1995 年度 実績報告書

光によるナノ微粒子の凝集分散の制御

研究課題

研究課題/領域番号 06453058
研究機関姫路工業大学

研究代表者

木村 啓作  姫路工業大学, 理学部, 教授 (70106160)

キーワード超微粒子 / コロイド / 疎水ゾル / 粒子間力 / 凝集 / ナノ粒子
研究概要

ガス中蒸発法によって作成された金超微粒子コロイド系は分散媒である有機溶媒と分散ゾルである金微粒子のみからなる極めて清浄な分散系である。コロイド化学的で作成される通常のゾルのように界面活性剤や解膠材などのような夾雑物を全く含まないため物理的な評価に適当な系でもある。この様な清浄系において大きさ10nmの金超微粒子に可視光を照射することにより数カ月以上にわたって安定であったコロイド系が急速に凝集することが我々によって見いだされた。この現象を解明するのが本研究課題の目的である。
金ナノコロイドの作成は既に述べたように純度6x9以上の高純度He中でのガス中蒸発法により作成された金ナノコロイドを2-プロパノール中に捕獲した溶媒トラップ法によって作成した。これにArレーザー光を照射し、そのパア-依存性、コロイド濃度依存性、および金ゾルの表面電位の測定を行った。レーザーパワー依存性の実験からこの現象には最小の閾値があり、線形な現象でないことが分かった。希薄なコロイド系ではレーザー照射と共に270nmの吸収が増大しこれと共に530nmのプラズモン吸収の増加が認められた。NMR測定ならびに標準試料の吸収測定により270nmの吸収はアセトンに基づくものであることが分かった。これは2-プロパノールが光照射によってプロトンとアセトンに解離し電子はコロイド粒子へ移行したものである。これに伴い粒子の表面電位は-40mVから-60mVへ増加した。また電子顕微鏡観察によりコロイド粒子は分散した。この現象はコロイドの標準理論により粒子の表面電荷の増加に基づくものとして解釈された。一方高濃度の系では光照射によりプラズモン吸収が減少し長波長の吸収が増大する粒子凝集に特徴的な挙動が見られた。電子顕微鏡による観察もこれを裏付けた。このさい表面電位には変化が無く、これはプラズマ系によって吸収された電磁波のエネルギーが局所的に粒子周囲の温度を上昇させたか、または我々が提唱している光増強ファンデルワールス力による可能性もある。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] N.Satoh: "Photoinduced Coagulation of Au Nanocollids" J.Phys.Chem.98. 2143-2147 (1994)

  • [文献書誌] K.Kimura: "Photo-Enhanced van der Waals Attractive Force of Small Metallic Particles" J.Phys.Chem.98. 11997-12002 (1994)

  • [文献書誌] K.Kimura: "Increase of van der Waals Attractive Force under Electromagnetic Field" Bull.Chem.Soc.Jpn.69. 321-324 (1996)

  • [文献書誌] K.Kimura: "Isolation and Agglomeration of Zinc Nanoparticles Observed by ESR Spectroscopy" J.Colloid and Interface Sci.171. 356-360 (1995)

  • [文献書誌] 木村啓作: "微粒子・クラスターの作成とその物性" 表面. 3月号. 9-16 (1996)

  • [文献書誌] 木村啓作: "超微粒子の表面-ナノ物質と光るシリコン" 化学. 49. 74-75 (1994)

  • [文献書誌] 木村啓作: "コロイド科学" 日本化学会編(丸善), 410 (1995)

URL: 

公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi