短工程で容易に調製可能な1-O-アシル糖をグリコシド供与体として用いる以下の触媒的グリコシル化反応を見い出すことができた。(1)脱離基にメトキシエトキシカルボニロキシ基を有するグルコース誘導体を用いた場合に、エーテルを溶媒として反応を行うとα-グルコシドが、またニトロメタンを溶媒として用いた場合にはβ-グルコシドが高選択的に得られた。(2)2位にトリクロロエトキシカルボニルアミノ基を有するアミノ糖誘導体をグリコシド供与体として、四塩化スズおよび過塩素酸銀を触媒に用いるとα-アミノグリコシドが、また二価スズのトリフラートを触媒に用いるとβ-アミノグリコシドが立体選択的に得られた。(3)種々のアシル糖に対してルイス酸触媒およびトリメチルシリルアジドを作用させることにより、高収率かつ完全な選択性をもってβ-グリコシルアジドが得られた。(4)脱離基にメトキシカルボニロキシ基を有するリボース誘導体に対して各種のシリル化された核酸塩基を作用させるとβ-ヌクレオシド類が高立体選択的に得られた。(5)シアル酸とガラクトースのグリコシル化反応を試みたところ、シアロシド供与体の1位の脱離基を炭酸エステルとした場合に反応がα選択的に進行し、対応するα-ガラクトシアロシドを高収率で得ることができた。(6)3位にジエチルチオカルバモイル基を有するデオキシリボース誘導体と核酸塩基とのN-グリコシル化反応を行うと、β-デオキシヌクレオシド類が高立体選択的に得られた。 次に、グリコシル化反応の効率化を目指して1位が水酸基である糖と遊離のアルコールのグリコシル化反応について検討を行った結果、高収率でα-およびβ-リボシドを得る手法を開発することができた。
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