我々が世界に先駆けて見出した赤色ルミネッセンス(TL)の原因解明や鉱物や岩石薄片からの放射線誘起各種ルミネッセンスの2次元画像観察およびルミネッセンス年代測定法や履歴温度推定などルミネッセンス現象の地球・考古学への応用に大きな成果をあげることが出来た。 赤色TL原因の追究に当たって、人工照射したマダガスカル産水晶や奈留島産日本式双晶薄片を加熱して得られる青色TL(BTL)パターンの濃淡が確認できた。これらは水晶生成時の熱水の状態を反映しており、水晶中に取り込まれた微量な不純物により影響されていることをX-線マイクロアナライザーと中性子放射化分析により調べた。その結果、Al不純物とBTLが負の相関を示していた。一方、赤外線吸収スペクトルの測定の結果、3300^〜3500cm^<-1>付近の水酸基由来の吸収とBTL強度に負の相関を見出した。900℃以上での加熱に伴うBTLからRTLへの変化部位はAlと-OH濃度の高い部位であり、熱処理の結果Alと関連した-OH基が水として石英から脱離しその部位がRTLセンターとして作用することが分かった。実際に、液体窒素温度下でγ-線照射した水晶粉砕試料のESRスペクトルからH原子の吸収スペクトルが検出されており、BTLの弱い部分がH原子吸収が強い事を見出した。 二次元ルミネッセンス画像としても我々は先端を走っており、赤外レザー光照射しながら走査させ可視光領域のルミネッセンスを連続的に検出することにより、花崗岩薄片の長石部位から初めて二次元光励起ルミネッセンスパターンを公表出来た。ルミネッセンス現象の応用として、旧石器と関連した高森遺跡の火山灰層Tm-1に40^〜50万年にも遡る年代値を評価できた。
|