研究概要 |
油脂中の遊離脂肪酸の総含有量(油脂酸価)は、油脂の品質評価の指標として重要であるが、従来の定量法(中和滴定法)には計測の効率性、データの信頼性などに難点が指摘されている。そこで、信頼性、実用性、汎用性の高い新しい油脂品質評価法の開発を目的に本研究に着手した。平成6年度の研究実績は次のとうりである。 1.ボルタンメトリー キノン類の電解時の電極還元反応を解析し、脂肪酸共存によりキノンのボルタモグラム還元前置波が出現すること、ならびにその機構を明らかにした。また前置波の波高から遊離高級脂肪酸の総量が定量できることを明かにした。定量のためには、溶媒としてエタノール、キノンとしてビタミンK_3(2-メチル-1,4-ナフトキノン)の使用が最適であることがわかった。主要設備のポテンシオスタット、XYレコーダは、このために使用した。 2.フローインジェクションアナリシス(FIA) 電気化学検出器を作製し、これと主要購入設備のインテグレータを使ってFIAシステムを完成した。これにより油脂中の遊離脂肪酸定量を1時間当り60検体まで実施可能となり、従来法に比して著しい迅速化に成功した。 3.リパーゼ活性測定 オリーブ油を基質としてリパーゼを作用させ、生成する脂肪酸の定量によりパーゼの活性が求められた。 4.高速液体クロマトグラフィー電気化学検出 上記の電気化学検出器と、本年度購入したインテリジェントポンプなどを組み込んで、種々の高級脂肪酸の分離定量装置を作製中である。次年度はこれを使って、個々の脂肪酸の分離定量を試みる予定である。
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