研究概要 |
1.濃厚化に伴う成長粒子の激しい凝集を防止するために前駆体ゲルに成長粒子を保持させるアイデアに基づいて、各種の遷移金属塩(Fe,Al,Cd,Cu等の)の濃厚溶液にNaOHを作用させて水酸化物ゲルを生成させそれを経時させることにより単分散酸化物微粒子を得た。また同時に粒子間の凝集の防止をさらに強化するために、粒子のブラウン運動を抑制するための粘性の付与あるいは粒子表面に強く吸着するような物質の添加等について検討し、効果を明らかにした。 2.出発塩のアニオン、物質、pH、濃度、温度、経時時間等の反応因子が粒子生成過程に与える効果を検討し、それら反応因子が最終的に得られる粒子の平均粒径、粒径分布に与える効果を明確に分離し、同時に反応初期の核生成期とその後の成長期における溶液中のイオンや錯体等の組成変化や、原子レベルでの粒子表面及び内部の構造変化を追跡してその作用機構を明かにした。 3.吸着性のアニオンや有機物質を用いて凝集防止を強化する一方、これらの粒子形状が、結晶構造等に及ぼす効果を検討し、その作用機構を明かにした。 4.各種の遷移金属塩濃厚溶液からの金属あるいは金属硫化物単分散微粒子の合成研究を実施した。水酸化物ゲルを含む溶液系に還元剤や硫化剤を作用させることにより単分散金属微粒子や硫化物微粒子を合成する研究を行い、Cu_2O、CdS等の単分散微粒子を得た。 5.上記とは別に核生成と成長期を明確に分離する目的で、予め合成した粒子の「種」を水酸化物ゲル中に共存させ、核生成を抑制しながら、粒子成長のみを行なった。1.に関連して濃厚溶液からの単分散塩基性硫酸アルミニウム粒子、同フェライト粒子、同ニッケル超微粒子と単分散ヘマタイトとの複合型粒子等の合成を行ない、その機構解析を行った。
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