研究課題/領域番号 |
06453083
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
八木 順一郎 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (20006050)
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研究分担者 |
秋山 友宏 東北大学, 素材工学研究所, 助手 (50175808)
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キーワード | 水素吸蔵合金 / 蓄熱 / 充填層 / 単一球ペレット / エネルギー変換 / 反応速度論 / 伝熱 / 機能性材料 |
研究概要 |
水素吸蔵合金は蓄熱時に水素を放出し、水素圧力を高め吸収させると放熱するという興味深い性質を示す。これを利用すると廃棄されていた余剰な熱源を化学エネルギーの形で高密度で長時間貯蔵することが可能になる。300から500℃の中高温の工業排熱回収の場合、マグネシウムニッケル系の合金が熱分解温度、蓄熱密度の観点から最適であり、本年度はその物理的および化学的特性を明らかにした。 購入した熱重量分析測定装置は1200℃、20気圧までの条件下で高感度に重量変化を測定できる能力を有している。水素吸蔵合金は上述した魅力的な特性を備えているものの、水素の吸収放出を繰り返すと粉化して伝熱特性が低下するという問題点を有している。そのため、あらかじめ微粒化した合金に銅のマイクロカプセル化を施し加圧成形体を作成し、繰り返し水素吸収放出の実験を行った。その結果、銅の添加は熱伝導率を数倍大きくするがその含有量は大きく影響しないこと、カプセル化は強度改善に極めて有効であること、加圧成形時には微粒子はゆっくりと変形するため十分な加圧保持時間が必要であること等が明らかになった。 ついで、速度論的な検討をおこなった。反応熱の影響が無視できる程度の微量の粉末試料を使用し、水素吸収および放出反応速度を温度、圧力の異なる条件下で測定した。その結果、圧力の影響を考慮した可逆反応を仮定した速度式により、全ての測定データは精度良く整理可能であることを見いだし、アレニウス型の相関式の導出に成功した。さらに、直径10mmほどの単一球ペレットを作成し、反応時の温度、重量および粒子内圧力の経時変化を測定した。条件によっては粒子内の圧力変化が極めて大きくなる場合があることが明らかになり、数学的モデルを作成する際の貴重な知見を得た。次年度はこれらの結果をもとに単一球ペレットの解析を行い、それに基づき充填層プロセスの設計を行う予定である。
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