初年度には備品として導入された高圧熱天秤により、水素圧力が吸収および放出速度に及ぼす影響を明らかにし、反応機構を考察し反応速度式の形態で整理した。ついで次年度には前年度に得られた結果に基づき確立した単一球ペレットの伝熱解析モデルを充填層プロセスに拡張し、流動を考慮した充填層解析モデルを試作した。さらに、数値実験により充填層装置形状、粒子径、ガス流速、壁際空間率などを変化させて最適操作条件を考察した。 実験遂行に当たって、水素の吸蔵よび脱蔵操作を繰り返すことにより、合金微粒子の顕著な粉化現象が見られ熱伝導率が大きく低下した。これは反応により結晶構造が変化し内部応力が発生することに起因する。そのために、それを改善するため銅による無電解メッキ処理を粉体状の合金に施した後に、圧粉成形した。これにより強度及び熱伝導率は大幅に改善され充填層プロセスとして使用できる可能性を強く示した。得られた合金は200回の繰り返しにも耐え、熱伝導率は未処理の試料に比べて数倍向上した。引き続き、カプセル化や圧粉条件の最適化が試みられた。さらに、反応速度式は可逆1次式の形態で合理的に整理することができた。充填装置プロセスに関しては壁に半球を千鳥状に張り付けることにより効果的にチャネリングを除去する方法を開発した。
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