塵芥焼却炉の炉材として使用されているFe-基合金の高温腐食、特に、Fe-Cr合金の高温硫化腐食挙動について、実験的に調査した。その結果、硫化挙動は雰囲気の硫黄分圧に依存して変化し、硫黄分圧がFeSの解離圧よりも高い時は外部スケールのみが形成するのに対して、低硫黄分圧ではCrの選択硫化となり、腐食量は低下するものの、合金の結晶粒界が選択的に腐食されることを見いだした。この粒界硫化は幅および深さ方向に放物線則に従って成長し、合金中のCrの拡散と硫化物/合金界面を拡散する硫黄のと反応による機構によって、定量的に説明できることを示した。 一方、同じ合金でも温度が1173K以上になると、結晶の内部・粒界いずれにも硫化物が形成する内部硫化となる事実をあきらかにし、これは、脱Cr層がα-γ相変態によって、合金中の拡散が非常に低下するため、硫黄の内方拡散が優勢となることに帰因する新しい考え方を提案した。 これらの結果を基礎に、次年度では、さらに他の合金および腐食雰囲気での研究に展開するための成果が得られた。
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