研究課題/領域番号 |
06453090
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 文良 東北大学, 素材工学研究所, 教授 (10007198)
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研究分担者 |
吉澤 友一 東北大学, 素材工学研究, 助手 (00200973)
葛西 栄輝 東北大学, 素材工学研究, 助教授 (50134044)
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キーワード | メカノケミカル効果 / ファインセラミックス / 微構造 / 機械的特性 / 熱膨張係数 / 曲げ強度 / 粉砕 / 結晶構造 |
研究概要 |
平成7年度における研究は、ほぼ当初の研究計画に沿って推進された。すなわち、出発物質として、タルク、カオリナイト、ギブサイト等、数種の天然酸化物を主として選定し、これらをムライト、コ-デエライト、ホルステライト、リチア系セラミックスの組成になるように秤量し、これを転動ミル、遊星ミルなどにより乾式粉砕し、粉砕による混合物粉体の結晶構造変化や加熱過程における相変化の効果を明確にした。また、焼結体の組成や機械的・熱的特性を評価し、それらと粉砕操作との関連性を明らかにした。具体的な粉砕効果(メカノケミカル効果)は、次の通りである。 (1)乾式粉砕初期では原料混合粉体の粉砕が促進されるが、長時間粉砕では逆に粉砕によって生成した微粒子が造粒するようになる。これは粉砕過程で試料にエネルギーが蓄積し、その化学ポテンシャルが増大し、いわゆる機械的活性が大となったためであり、それを緩和するための現象と考察される。この造粒現象と呼応して、結晶質原料の微視的構造が無定形状態へと変化し、かつ組成の均一化が起こる。 (2)粉砕操作を施すことによって達成される組成の均一化、及び、結晶構造の無定形化は、易焼結性をもたらす。その程度は、目的とするセラミックスによって異なるが、おおよそ200〜300K、焼結温度が低下する。また、ここで得られるセラミックスの相は、単一相となりやすく、かつ、緻密(理論密度にほぼ匹敵)であるため、機械的強度(3点曲げ強度)が、例えば、ゾルゲル法などにより得られる粉体から作られた焼結体のそれと比較できる程度の値となり、優れた特性を有するようになる。また、熱膨張係数も比較的安定な値をとる。これらの結果は、ムライト、コ-デエライト、ホルステライト等に共通する特性である。更に、コ-デエライトセラミックスでは、誘電特性を測定した結果、粉砕し、メカノケミカル効果を発現させた粉体から得られる焼結体ほど、誘電特性が優れることが明らかになった。
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