1.PENNの特性把握 実プラントから得られた操業データからNNで精製油の特性を予測するプロセスモデルを構築した。このとき、PENNの概念を適用しグローバルポリシ-を用いることで、誤差の影響を抑え、信頼性の高いモデリングが可能となった。また、このモデリングはプロセスの静的な特性を学習するとともに、入力変数の差分を用いることで時間的な変化にも対応することができた。 2.誤差の概念に基づかない制御の枠組みの開発 従来の制御の考え方の基本にあった、誤差を割り出して修正を加え制御する考え方をやめ、将来への方向を代表する操作量の目標値と現在値との差と、過去の動向を代表する現在値と過去の値との差を採用する新しいPENN法を開発し、その優秀性を確認した。 3.変数間で干渉のある系の制御 (1)PENNコントローラを拡張し、プロセスゲインを表すネットワークとを乗算の形で結ぶ複合ネットワークを導入した。この各ネットワークに特有の性能を持たせる拡張により制御対象の応用範囲が格段に広がるとともに、より高精度な制御が可能となった。 (2)高粘度、高温系となるために制御が困難である連続塊状重合プロセスに対し、NNを用いて将来の温度変化を予測することで冷媒温度と供給流量という干渉し合う2変数を操作変数とした制御を可能とした。 (3)NNを前傾モデルとして利用し、ワンステップモデル予測制御法を提案した。この制御法は簡明であり、NNの特長を利用しているため多変数システムの制御に有望である。また、単結晶成長の制御に応用しその成果を確認した。
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