研究概要 |
沈澱法分離プロセスの合成にあたって,試薬の添加順序,沈澱の生成・溶解の組合せを系統的に探索するとともに,候補となったプロセスの評価を行うためのコンピュータ・ソフトウェアを作製した.それを用いて,焼却灰から金属類を分離・回収するプロセスを合成した. 1.コンピュータ・プログラムの作製 (1)沈澱法分離プロセスが木型であることに着目して,幅あるいは深さ優先の遂次探索プログラムを作製した. (2)分析化学,無機化学の分野においては,沈澱の生成・溶解の程度が文章によって表現されていることが多いので,これらの情報をファジィ理論にもとづいて変換して,データベースを構築した. (3)多成分系における沈澱の生成・溶解では,誘発沈澱,共沈,後沈,誘発溶解等の現象が起こることが多いので,これらについてルールを整理して知識ベースとした. (4)合成された候補プロセスについて,ファジィ積分による評価を行うためのプログラムを作製した. 2.焼却灰から金属類を分離・回収するプロセスの合成 都市ゴミ焼却炉飛灰から環境汚染の原因となる有害金属(カドミウム,銅,マンガン,鉛,亜鉛)を,また下水汚泥焼却灰から有用金属(アルミニウム,マンガン,リン,チタン,亜鉛)を,それぞれ分離・回収するためのプロセスを合成し,実験によってその機能を確認した。
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