研究課題/領域番号 |
06453095
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 基之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10011040)
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研究分担者 |
酒井 康行 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (00235128)
迫田 章義 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (30170658)
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キーワード | 膜 / 膜分離 / 水処理 / 活性炭 / 排安水 |
研究概要 |
膜による水処理は小規模、省エネルギーなど利点が多く環境調和型と言われているものの、その実用化の拡大の為には耐汚染性、十分な機械的強度を有した安価な膜の開発が不可欠となる。そこで,様々な高分子膜等の開発が行われているが、未だに十分な実用性を有した水処理用の膜が見当らないのが現状である。本研究はこの問題を解決することを最終的な目的として、微粒子凝集薄膜法と称する独特な手法を用いた製膜法をを開発し、得られた膜の特性を検討している。微粒子凝集薄膜法とは、セラミック、金属あるいは高分子ポリマーといった各種の機能製微粒子を、それぞれ単独で、あるいはこれらを混合したものを、多孔質基板上に付着堆積させ、これをそのまま加熱、融着し、微粒子凝集体からなる薄膜を強固な基板上に形成しようというものである。昨年度までに、PTFE膜とテフロン膜の試作に成功し、それらの電子顕微鏡による構造観察、ESCAによる元素分析あるいは気体などの透過試験を通して膜性能を検討し、極めて有望な成膜法であることを見い出している。今年度はさらにこの技法を発展・拡張させて水処理に使える活性炭膜の開発と応用に着手した。活性炭膜は、乳化重合によって生成したポリ塩化ビニリデン/ポリ塩化ビニルのポリマーラテックス粒子(約0.1μm)を任意の濃度に水で希釈し、これに回転を与えたセラミックチューブ(基板)を浸漬塗布する方法で、その外表面に均一な微粒子堆積層を形成した。つぎに、これを乾燥、加熱し、引き続き不活性ガス(N2)中で750〜800°C下、1時間に渡って炭化処理し、微粒子の熱分解で孔径7オングストローム、厚さ10μmの微細孔を有する活性炭膜を形成した。さらに、この活性炭膜は非常に広い分子量分布を有する排安水の着色成分の除去や、水中に溶存しているガス・蒸気の回収に有効に作用することを実験的に明らかにした。現象の回折と成膜法の確立が最終年度の課外である。
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