研究課題/領域番号 |
06453101
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八嶋 建明 東京工業大学, 理学部, 教授 (60016409)
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研究分担者 |
小松 隆之 東京工業大学, 理学部, 助手 (40186797)
小国 正晴 東京工業大学, 理学部, 助教授 (50144423)
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キーワード | ベックマン転位 / ゼオライト触媒 / 固体酸性 / シクロヘキサノンオキシム / ε-カプロラクタム |
研究概要 |
本研究は、6-ナイロンの単量体であるε-カプロラクタムを、シクロヘキサノンオキシムから気相ベックマン転位により合成するための高活性および高選択性固体触媒を開発するために、鍵となる主な要因を明らかにすることを目的としている。 これまでの研究で、高い活性と選択性を示すことを見い出しているフェリエライトについて詳細に検討した。その結果、イオン交換によりNa型あるいはK型にしてもプロトン型と成績は変わらない。また、酸処理と熱処理あるいは四塩化ケイ素処理で脱アルミニウムをすると、活性、選択性の両方が共に低下することが判明した。 その他の微細孔を有する結晶として、A型、X型、Y型、クリノプチロライト、AlPO-5、AlPO-17、MCM-41といったゼオライトおよびゼオライト類縁化合物を触媒に用いて検討した。その結果、反応原料であるシクロヘキサノンオキシムを細孔内に吸着できる物質では、高い活性を示すが、選択率は70%程度に留まる。反応原料を吸着できない物質では、活性は低くなるが選択率は90%と高くなる。また、2nm程度の大きな細孔を持っているMCM-41の場合には活性は高いが選択率は約40%とシリカゲルと同程度であった。 以上の結果より、シクロヘキサノオキシムの気相ベックマン転位に有効な触媒としては、通常の酸点は必ずしも必要ではないこと、結晶性の物質は選択性が高く、無定形あるいは無定形と見なせる物質は選択性が低いこと、さらに狭い細孔内の反応では6員環が7員環へと拡がるベックマン転位は起こりにくくなることが判明した。
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