研究課題/領域番号 |
06453101
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八嶋 建明 東京工業大学, 理学部, 教授 (60016409)
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研究分担者 |
小松 隆之 東京工業大学, 理学部, 助手 (40186797)
小国 正晴 東京工業大学, 理学部, 教授 (50144423)
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キーワード | シクロヘキサノンオキシム / ベックマン転位 / ε-カプロラクタム / ゼオライト / シリカライト / フェリエライト / シリカゲル / 表面水酸基 |
研究概要 |
常圧流通系反応装置を用いシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応を320℃で行い、各種触媒の性能を比較した。強酸性のゼオライトであるH-ZSM-5、H-モルデナイト、H-Y等を触媒とすると、ε-カプロラクタムの選択率は30〜60 mol%と低い値となり、高沸点化合物の生成による触媒活性の低下も激しかった。また、塩基性のゼオライトであるK-ZSM-5、K-フェリエライト等を用いた場合も、ラクタム選択率は30〜60 mol%となり、活性低下も同様に激しかった。このように、強酸点、塩基点ともに、副反応に対する活性が高いため、効率的なラクタム合成には不向きであることが分かった。そこで、強い酸点、塩基点をもたない触媒についてさらに検討した。無定形の酸化物であるγ-アルミナ、チタニア、ジルコニア等を用いると、ラクタム選択率は40 mol%以下となり、本反応に有効ではないことが明かとなった。一方、結晶性酸化物であるCa-A、H-SAPO-5、シリカライト等を用いると、転化率は4〜100%と触媒によって差があるものの、ラクタム選択率はいずれも80 mol%以上という高い値が得られた。高沸点化合物の生成も少ないため、活性の経時的低下も少なかった。この結果から、弱酸性あるいは中性のOH基もラクタム生成の活性点であり、高沸点化合物生成が起こりにくい分だけ強酸点および塩基点より有効な活性点であると考えられる。中性のOH基をもつものとしてシリカゲルについてさらに検討した。シリカゲル上では生成したラクタムが速やかに高沸点化合物へと転化するため、ラクタム選択率は低くなった。シリカゲルを塩化アルミニウム処理することにより、表面OH基を一部取り除くと、ラクタム選択率が向上した。このことから、中性OH基の表面濃度がラクタムの効率的合成に影響を及ぼすことが明かとなった。
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