メタノール、一酸化炭素、酸素からジメチルカルボナ-ト(DMC)を次の反応によって合成する触媒の開発研究を行なった。活性炭(武田製薬、白鷺)にPd、Cu、Sn等の金属塩類の水溶液を含浸させ、さらに助触媒としてK塩類水溶液を含浸させたのち蒸発乾涸して種々の触媒を調製し、固定床高圧流通式触媒反応装置を使用して、その活性、選択性を評価した。反応条件は温度120℃、圧力5kgf/cm^2G、W/F2.4g・h/molを標準とした。主反応生成物のDMCの他にギ酸メチル、酢酸メチル、メチルエーテル、ジメトキシメタン等が僅かに生成した。また一酸化炭素の酸化により二酸化炭素が生成した。触媒活性は反応時間の経過とともに次第に向上し、十数時間でほぼ安定する例が多い。Cu、PdにDMC生成活性が認められたが、Pdは二酸化炭素の副生が多く認められ、DMC生成選択性が劣る。CuとPdを共に担持した触媒は、DMC生成活性の向上に若干の相乗効果が認められたが、二酸化炭素生成量が多く、総合評価は劣る。また金属塩類の陰イオンとしては塩素イオンが最も好ましく、硝酸、硫酸等の塩類は活性が低い。KClには二酸化炭素抑制の優れた助触媒効果が認められた。Cu-K-Cl3元素を活性炭に担持するときの調整条件について、平衡吸着法、ポアフィリング法、担持量、担持順序などを検討し、活性、選択性との相関を明らかにした。来年度はこれらの知見を踏まえて、メタノールと二酸化炭素からのDMC合成触媒の開発をめざす。 DMCの大気圧非平衡プラズマ中での分解反応を検討した。その結果、DMCの分解特性は一般の低級炭化水素よりは幾分大きい程度であり、その反応は、一次速度式に従うことがわかった。分解生成物としては水素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、エタン、エチレンが確認された。さらに興味深い生成物としてアセトアルデヒドが検出された。
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