研究課題/領域番号 |
06453108
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
渡辺 寛人 北海道大学, 工学部, 教授 (80002856)
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研究分担者 |
斎藤 徹 北海道大学, 工学部, 助手 (40186945)
上舘 民夫 北海道大学, 工学部, 助教授 (70185990)
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キーワード | チトクロームP450 / チトクロームb_5 / 抽出分離 / 相分離 / 非イオン界面活性剤 / ミセル溶液 / 水溶性ポリマー / 膜タンパク質 |
研究概要 |
膜タンパク質に対する変性作用が弱いn-オクチル-β-D-グルコシド(OG)ミセル溶液に、陽イオン性の水溶性ポリマーであるジエチルアミノエチル-デキストラン(DEAE-Dx)を加えると、0℃で活性剤に富む相とDEAE-Dxを含む水相とに二相分離することを見いだし、この二相間での膜タンパク質であるチトクロームP-450(P-450)とチトクロームb_5(b_5)の分配を検討した。 先ず、肝ミクロゾーム中のP-450とb5をOGミセル水溶液に可溶化後、デキストランゲルやDEAE-Dxゲルなどの大口径クロマトカラムにより処理し、各成分を含むミセル水溶液を透析精製し、P-450とb_5の標準資料を得た。同様の方法でb_5還元酵素を分離精製し、b_5還元酵素とb_5の反応を分光光度法により追跡し、b_5のソーレー帯の差スペクトル変化を利用して、P-450から変性したP-420の影響を受けないb_5の定量法を確立した。また別に、P-450とb5がルミノール化学発光の触媒となることを見いだし、これを基にP-450とb5の高感度定量法を開発した。 OGミセル溶液にDEAE-Dxを加えると、ミセル溶液は直ちに二相分離し、さらにP-450の分配は変化しないが、b5の抽出が大きく抑制されることを見いだした。このことはDEAE-DxによりP-450とb5の抽出選択性が制御されることを意味し、迅速簡便な膜タンパク質の高性能分離法を開発できる可能性が大きい。現在、OG以外の非イオン界面活性剤と種々の水溶性ポリマーの組合せについて、相分離条件を検討している。曇点の高低によらず、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマーも非イオン界面活性剤ミセル溶液の相分離に有効であるが、DEAE-DxのみがP-450とb5の抽出選択性を変化させることを見いだしている。現在、可溶化ステップにおける選択性、並びにP-450とb5還元酵素の抽出挙動も検討している。
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