研究課題/領域番号 |
06453116
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松村 道雄 大阪大学, 有機光工学研究センター, 教授 (20107080)
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研究分担者 |
小林 光 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (90195800)
中戸 義禮 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70029502)
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キーワード | EL素子 / エレクトロルミネッセンス / 有機物薄膜 / 電荷注入 / 界面 / エネルギー障壁 / ショットキー放出 / 発光物質 |
研究概要 |
有機EL素子は積層化した薄膜構造をもっており、その界面物性が素子の動作特性に大きな影響を与えている。そこで、本課題では特に界面の問題に注目して、有機EL素子の動作機構の解明を目的とした研究を行った。 1.カソードからの電子注入過程 カソードから発光体であるアルミニウム-ヒドロキシキノリン錯体(ALQ)への電子注入の機構を明らかにするために、電極/ALQ/電極のような単層構造の素子を作製し、カソード電極からALQへの電子注入に伴って流れる電流の電圧依存性を温度変えて測定した。その結果、この電子注入はショットキー放出機構によって起こっていることが明らかにされた。 なお、上記の素子において流れる電流の温度依存性の詳細な解析により、マグネシウム(カソード)からALQへの電子注入におけるエネルギー障壁の高さは約0.58eVと決定された。 2.ITO電極からの正孔注入過程 電子注入の場合と同様にして、ITO電極から正孔輸送剤であるジアミン化合物層への正孔注入を検討した。この場合も、正孔注入がショットキー放出機構によっていることが明らかになり、その界面のエネルギー障壁は約0.41eVと決定された。 3.ALQと正孔輸送層界面の発光効率に及ぼす影響 有機EL素子における発光の量子収率を正確に決定することは、薄膜構造のために容易ではない。そこで、光励起した場合の発光(PL)とEL発光を比較することにより、EL発光の効率を検討した。その結果、EL発光の効率はPLの13%程度しかないことがわかった。この原因は、EL発光においてはALQとジアミン化合物界面で電子・正孔の直接的な再結合が起こるためであること結論された。
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