研究概要 |
Sc_2O_3-ZrO_2系固溶体の焼結は一般に極めて高温(2000°C)を要するが、本研究では共沈法、ゾル-ゲル法、超音波粉霧法等各種方法により微粉体を合成し低温焼結(1700°C以下)での緻密体の作成を試みた。その結果、共沈法が優れているのを見いだした。この方法によって、あとの洗浄処理や仮焼処理をうまくやると、ほとんど1700°C,12時間の焼結で100%に近い焼結体がどの組成でも得ることが可能となった。過去の導電率のデータを再確認、精密化するべく、特にジルコニアと種々の三価金属を含む酸化物との固溶系を作成し、多くの組成のジルコニアの導電率測定を行った。固溶するイオンのサイズと組成によるが、これまでに期待されたようにSc_2O_3-ZrO_2系が優れた電解質であることを見いだした。 また、高温強度の向上を目指し、そのためにAl_2O_3,SiO_2との複合体について、低温合成法を組み合わせて添加材と機械的強度と導電率との関係を検討した。最も高い導電率を示す組成11-12mol%Sc_2O_3で少量のAl_2O_3を添加すると室温でも立方晶が安定化されることは実用上重要な発見である。アルミナ添加によりスカンジア安定化ジルコニアの菱面体相組成において、立方晶として低温まで安定化されることが分かった。 SOFCは最低5万時間の運転が実用上要求される。一般に安定化ジルコニアの導電率はその組成により経時的に変化することが報告されているので、本研究で検討された最適電解質組成(高導電率、高機械的強度)電解質の導電率の経時的変化について検討した。スカンジア安定化ジルコニアのスカンジアリッチ域(11〜12%)でほとんど経時変化が見られなかった。
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