研究課題/領域番号 |
06453122
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
曽我 直弘 京都大学, 工学研究科, 教授 (80026179)
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研究分担者 |
田中 勝久 京都大学, 工学研究科, 助手 (80188292)
中西 和樹 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00188989)
平尾 一之 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90127126)
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キーワード | 希土類 / 酸化物ガラス / フッ化物ガラス / ファラデー効果 / 配位子場 / f-α遷移 / ヴェルデ定数 |
研究概要 |
本研究では、磁気光学材料として有望な透光性磁性材料を見いだす目的で物質探査を行い、Tb^<3+>を含有する酸化物ガラスおよびフッ化物ガラスを作製し、これらのガラス中のTb^<3+>をファラデー効果と配位子場の関係、およびTb^<3+>イオン間の磁気的相互作用を考察した。具体的な研究成果を以下に要約する。 1.酸化物ガラスとして、ドープされた希土類イオンの局所構造が組成に応じて大きく変化することが知られているアルカリホウ酸塩ガラスを選び、Tb_2O_3を5mol%含有するガラスを溶融法で作製した。ガラスのファラデー回転角の波長依存性を400から850nmの範囲で室温で測定した。その結果、測定した波長の範囲ではファラデー回転角は負でありその絶対値は波長が短くなるほど大きくなった。この回転角の波長依存性をVan Vleck-Hebb理論を用いて解析した。波長が短い領域ではファラデー回転角の大きさの逆数を波長の2乗との間に直線関係が見られた。この直線関係から4f^8→4f^75d遷移の実効的振動数を求め、それをガラスの組成から計算した光学的塩基度に対してプロットすると、塩基度の増加にともない実効的振動数は単調に減少した。これは、塩基度の増加にともない5d軌道のエネルギー準位の分裂が大きくなり遷移の振動数が小さくなるためである。 2.フッ化物ガラスにおいてTbF_3の含有量を5、10、15mol%を変化させてファラデー効果を測定した。また、ガラスの密度より単位体積当りのTb^<3+>の個数を算出し、Tb^<3+>1個当りのファラデー回転角を見積った。この値はTbF_3濃度によらず一定であった。このことはフッ化物ガラス中でTb^<3+>イオン間に働く超交換相互作用の大きさがゼロであることを示している。
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