高温融液中に微量の固相(微結晶)が存在する不均質モデルをリチウム珪酸塩融液について実験的に確認した。溶融温度とともに微粒子の濃度および粒子径が低下することを確かめた。組成を3種類、溶融時間を2種類、熱処理時間を4種類変えて実験を行ない以下の結果を得た。 1.33Li_2O・67SiO_2(モル%)組成。1300°C、2時間または20時間溶融して作製した融液を1035°C〜1200°Cまでの種々の温度に1〜2時間保持した。急冷ガラスを600°C〜650°Cの各温度で20分〜45分熱処理し、生成した微結晶の数Nおよび短軸長を測定した。微結晶の数Nは、溶融温度の高いガラスほど少なく、短軸長は溶融温度が高いほど小さくなった。これらの結果は不均質液体モデルと合致した。 2.2種の溶融熱履歴をもつガラスを示差熱分析(DTA)によって昇温速度1°C/分〜20°C/分で加熱すると結晶化ピーク(Tc)が現われた。Tcはガラスの溶融温度が高いほど高くなった。 3.分相組成(31Li_2O・69SiO_2)については、500°Cで核生成させ600°Cで結晶成長させた。ガラスは分相して乳白色になったが、微結晶の数Nは高温になるほど減少した。Li_2Oリッチ相に微結晶核が存在していたと推測された。不均質モデルは分相系でも成立すると考えられる。 4.35Li_2O・65SiO_2組成についても1.3.と同様な結果が得られた。同じ溶融温度でのNの数を比較すると分相ガラス>33Li_2O・67SiO_2>35Li_2O・65SiO_2の順であった。 5.33Na_2O・67SiO_2組成のガラスを880〜1300°Cで溶融し、600°Cの熱処理すると低温溶融したガラスは表面の結晶化速度が速く、結晶粒径も大きいことが分かった。
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