研究概要 |
ケイ素がα位のラジカルを安定化することを利用した位置選択的ならびに立体選択的なラジカル環化反応について研究を行い次の2つの成果を得た。 1.1-アリロキシ-2-ブロモ-1-フェニルシラシクロペンタンを触媒量のトリエチルボラン存在下にトリブチルスズヒドリドで処理すると、ラジカル環化が起こり2-オキサ-1-シラビシクロ〔3.3.0コオクタンが収率よく生成することを見いだした。対応する2-ヨード体を基質としトリエチルボランで処理するとヨウ素原子が転位したラジカル環化体が生成する。このものをトリブチルスズヒドリドで還元すると先に2-ブロモ体から得たものと一致した。得られたビシクロ体にフッ化カリウム存在下過酸化水素を作用させ炭素-ケイ素結合を酸化的に切断するとトリオールに変換することができる。さらに2-ヨードシラシクロペンタンがアセチレンの三重結合に対してラジカル付加し対応するヨードアルケンを与えることも明らかとなった。 2.(アリルジメチルシリル)ジブロモメチルシランとLDAから調製したアリルジメチルシリルジブロモメチルリチウムにアルデヒドを作用させた後、ヨウ化メチルおよびHMPAを加えるとシリル基の1,3-転位を伴いシリルエーテルが収率よく得られる。このシリルエーテルのベンゼン溶液(0.017M)に触媒量のトリエチルボラン共存下トリブチルスズヒドリドを作用させると7-エンド環化が進行し7員環シリルエーテルが選択的にしかも収率よく得られることを見いだした。環化の際にトリブチルスズヒドリドの代りに(Me_3Si)_3SiHを用いると高立体選択的に7員環シリルエーテルが生成する。
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