研究課題/領域番号 |
06453140
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田中 秀雄 岡山大学, 工学部, 助教授 (60032950)
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研究分担者 |
玄場 昭子 岡山大学, 工学部, 教務員 (80274009)
黒星 学 岡山大学, 工学部, 講師 (30242316)
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キーワード | 有機スズ / 銅(I)塩 / アルケニル銅 / 複合反応剤 / 銅(O) / 3-アルケニルセフェム / 炭素-炭素結合形成 / 有機スズ / 銅複合系 |
研究概要 |
有機スズ化合物と銅(I)塩との複合反応系に於ける活性反応種の創製を基盤とする新規炭素-炭素結合形成法の開発に向けた研究を行った。まず、前年度にひきつづき、アルケニルスズ/銅(I)複合系で生成するアルケニル銅(I)の構造と反応性について研究を進め、DMFやNMP中で調製したアルケニル銅(I)が配位不飽和な不安定反応種であること、既報の類似のアルケニル銅(I)錯体と異なるユニークな反応性を示すことを明らかにした。さらに適当な二配座配位子(bpy)あるいは三配座配位子(tpy)を添加することで微妙な反応性の制御が可能であることを見いだした。このアルケニルスズ/銅(I)塩化物/DMF(NMP)複合反応系を、3-アルケニルセフェムのΔ^2-およびΔ^3-異性体を選択的に製取する新規合成法の開発の鍵工程に組み込むことにより、その特徴と有用性を実証した。また、今年度は、スズヒドリド/銅(I)複合系についても研究を進めた。まず、トリブチルスズヒドリド/銅(I)塩化物/DMF系における反応を^1HNMRで追跡し銅(I)ヒドリド錯体の生成を示唆する結果を得た。また、その銅(I)ヒドリド錯体が、ノルセファロスポリンの新規合成法の鍵となるアルケニルトリフラートやアレンカルボン酸エステルの選択的水素化などに活用できることを見いだした。本研究で取り扱った有機スズ/銅(I)塩化物複合系で生成する不安定銅(I)中間体は、いずれもこれまでにない新しい活性反応種として、今後、新しい炭素-炭素結合形成法への展開が期待できる。
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