研究概要 |
1 合成高分子が生体物質の分子認識能に迫るには高度な立体規制とさらに不斉制御が重要な課題である。そこで、不斉制御の新たな手法として「ねじれ」を持つテンプレートによる不斉環化共重合の誘起について検討した。 2 不斉環化共重合はキラルなテンプレートを有するジビニルモノマーとアキラルなモノビニルモノマーとの環化共重合における、ジビニルモノマーからのキラルな環化ユニット形成とモノマーからの非対称ユニットの形成に基づく不斉誘起である。 3 これまでに天然由来の糖(L-スレイトール、D-マンニトール、グルコース)など骨格の硬いテンプレートの有効性を確認している。今回は骨格の柔らかい簡単な化合物((S)-1,3-ブタンジオール、(S)-1,2-プロパンジオール、(2S,4S)-2,4-ペンタンジオール)について検討した。 4 これらテンプレートを有するビスビニルベンゾエ-トとスチレンとの環化共重合を行い、キラルテンプレート除去後のコポリマーが旋光性を示すことを確認した。CDスペクトルの結果からビスビニルベンゾエ-トのキラリティーが分子内環化して主鎖へ転写され、環化単位がPR-rasemoに規制されることを明らかにした。
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