1.黄化イネ幼植物の葉身屈曲とブラシノステロイド作用の青色光による制御 黄化イネ幼植物に含まれる総BS活性量は著しく増大したが、内生BSであるティアステロン、カスタステロン、ブラシノライド、タイファステロールの真の含量は増加せず、総BS量の7/6は相乗物質の作用によるものであった。この物質は光りに無関係に生合成されてBSに作用するが、暗黒下で栽培した植物では相乗物質の作用が抑制されている。抑制物質は光によって抑その作用が阻害された。逆相HPLCで阻害物質は保持されて溶出不可能、さらに微量で、不安定な物質で、精製が困難であった。相乗物質も同様に精製に手間取っている。BS精製過程やHPLC上でBSと同じ挙動を示し、かつBS相乗物質として初めてステ-ルグルコシドを合成物の中から見付けた。葉身屈曲試験やインゲン下胚軸伸長試験でブラシノライドとの顕著な相乗的共力作用を示した。 2.粘液細菌の形態分化とカロチノイド生合成の青色光による制御 グラム陰性の原核生物の中で最も進化した粘液細菌が形態形成(フルーティングボディ)が青色光によって誘導されることを明らかにした。光のシグナルが本細菌の栄養細胞内のカロチノイド生合成系を活性化させ、形態分化を誘起すると想定された。カロチノイド生合成を阻害してやると、光シグナルの伝達が阻害されるので形態形成が完全に抑制されるものと推察できた。BS活性促進物質およびその抑制物質の検索の一環として、青色光照射によるカロチノイド代謝が活性化され、その結果形態分化が誘起されると想定される新規微生物(粘液細胞)の培養法とカロチノイドの分析法を確立した。青色光リセプターの検索にも最適なものと考えられる。黄化イネ植物中のBS共力物質とその抑制物質の解明に役立つことだろう。
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