研究概要 |
チューリップ球根において、低温処理を施した場合にはデンプンの分解が促進されるのに20℃で保存するとほとんどデンプンの分解がおこらない理由について、低温処理した球根としていない対照区の球根リン片をリン片表皮近傍と内部にわけてアミラーゼ活性を測定した。その結果、対照区では表皮部近傍にのみ強い活性があり、デンプンの集積しているリン片内部にはアミラーゼ活性がほとんどなかった。一方、デンプン分解の見られた低温処理区のリン片では表皮部とともにリン片内部にも活性が誘導されていた。酵素活性の分布から、低温は、実際にデンプンの集積しているリン片内部細胞のアミラーゼ活性を誘導するものと考えられた。 前年度精製に成功したリン片のα-アミラーゼの性質を調べた。活性の最適温度75℃、最適pH5.0-5.6,で酵素の安定性のためにCa^<2+>を必要とした。また、Cu^<2+>、Hg^<2+>で阻害を受けた。これらの性質は、他の植物アミラーゼとほぼ共通した。アイソザイムは、2-5個見られた。 チューリップ球根の貯蔵タンパク質は、33、21、22、32kDaの成分が主体であるが、低温処理期間中のペプチドの量的変化を調べたところ22、32kDaのペプチドが分解され、17kDaのペプチドが増加した。また、遊離のアミノ酸濃度も低温処理で上昇した。低温処理により、エンドペプチダーゼとアミノペプチダーゼ活性が上昇した。貯蔵タンパク質成分のうち、21kDaの成分を単離精製した。キャピラリー電気泳動装置で貯蔵タンパク質の分離条件を検討したところ、電解のpHにより分離パターンが大きく変化した。
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