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1995 年度 実績報告書

土壌のpHはいかにして決まるか-実験とモデル化-

研究課題

研究課題/領域番号 06453163
研究機関九州大学

研究代表者

和田 信一郎  九州大学, 農学部, 助教授 (60108678)

研究分担者 糸井 龍一  九州大学, 工学部, 助教授 (50108768)
キーワードpH / 土壌 / 土壌溶液 / イオン交換 / 陽イオン吸着 / 陰イオン吸着
研究概要

昨年度に引き続き,イオン吸着にともなう水素イオンの授受の化学量論を明らかにするため,アロフェン質土壌を試料とし,硫酸イオンの吸着とそれに伴うpH変化,カルシウム,マグネシウム,カリウム,ナトリウム,塩化物および硝酸イオン吸着量の変化を調べた.この結果,土壌溶液の主要共存イオンが1価イオンの場合でも2価イオンの場合でも,硫酸イオン吸着量の増分(molckg^<-1>)は,陽イオンおよび水素イオン吸着量の増分に等しかった.また,硫酸イオン吸着量と土壌溶液のpH-log(SO_4^<2->)との間には1:1の関係があった.
これらの結果は,硫酸イオン1モルは,水素イオンが付加し正に帯電した表面水酸基2モルを占有して吸着することを示している.
また,アロフェン質および腐植質黒ボク土を用いてカルシウムおよびマグネシウムの吸着実験を,非晶質シリカを用いてナトリウム-カルシウムイオン交換平衡に関する実験も行った.前者の結果に熱力学を適用して解釈すると,カルシウムイオン1モルは2未解離の官能基の2モルの水素イオンと交換して吸着することが明らかになった.また後者からはカルシウム-ナトリウム交換の化学量論は1:2であることが示された.
ついで,これら弱酸的および弱塩基的官能基への陰イオンおよび陽イオン吸着を組み込んだ数値モデルを作成し,土壌溶液を水で希釈する過程でのpH変化を数値計算した.このとき,水素イオンの授受の化学量論を用いる計算法と,単にイオン吸着量を土壌溶液のpHおよびイオン活量の関数として与える方法の両方を比較した.全体としては前者が正しい結果を与えた.しかし,共存イオン種が少ない時には後者も満足すべき予測結果を与えた.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] S. -I. Wada, Y. Kakuto, R. Itoi and T. Kai: "Evaluation of calcium dihydrogen phosphate as an extractant for inorganic sulfate applied to soils." Communications in Soil Science and Plant Analysis. 25. 1947-1955 (1994)

  • [文献書誌] S. -I. Wada and K. Masuda: "Control of salt concentration of soil solution by the addition of synthetic hydrotalcite." Soil Science and Plant Nutrition. 41. 377-381 (1995)

  • [文献書誌] 和田信一郎・古村秀麿: "1:5水抽出液の分析に基づく土壌溶液硝酸イオン濃度の推定" 日本土壌肥料学雑誌. 67(印刷中). (1996)

  • [文献書誌] 和田信一郎・兼子明: "塩基飽和度が100%を越える土壌における塩基の存在形態をめぐる問題" 農業および園芸. 71(印刷中). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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